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カテゴリー別アーカイブ: あれやこれや

魯迅と父

19年前に亡くなった父は「超絶」と言っていいほど無口な人でした。お酒が入って機嫌がいい(あるいは機嫌が悪い)時以外は「ああ」「うー」といった発声しかしない、という感じで、もちろん仕事に行けばそうもいかなかったでしょうし、祖父の葬儀の時に父が代表で長い挨拶をしたときは「えーーーお父さん、普通にしゃべれるんやん!」と驚くほど。

そして父はまた「超絶」と言っていいほどの合理主義でした。意味のないことはしない、どんなときにも最適最短の道を選ぶ人でした。

サラリーマン(営業もやっていた、というのが信じがたいのですが)を経て会計士になった父のことは「実務一辺倒」の人だと思っていたのですが、若い時は絵を描いたり、実は哲学を勉強したかったのだ、ということはずっと後に知りました。

満州から両親と兄弟6人なんとか引き上げてきて赤貧洗うが如しの少年時代、芸術、哲学、といった道を選択するのは今よりずっと難しかったことでしょう。

そんな父が「魯迅」を愛読していた、ということは母経由で知りました。中学生ぐらいだったでしょうか?文学少女を気取って(気取っていたつもりはないのだけれど)図書室に入り浸り、読書感想文コンクールではよく賞をいただいていた私は、「それは読まねば」と取りついたわけです。でもね、全くわからなかったのです。魯迅は(といっても原文ではないけど)表現は直截だし難しい単語を多用するわけでもない。文章はすらすら読めるのでそういう意味で「難しい」わけではないのです。でも、今考えるにやはり読書(歌との出会いもそうかなあ)には出会うべき季節があるのだ、と思います。書いてある字面ではなく、もっと深く作品と触れ合うには読み手のある程度の成熟が必要なのではないかと。そんなことにも思い当たらない少女Uは、父の愛読していた作品が胸に響かなかったことが悲しくて、ショックで、それきり魯迅を手に取ることはありませんでした。

時は流れ流れ・・・仕事の関係で中国は紹興市と少し関わりができました。紹興市といえば魯迅の故郷として世界中に知られた地、「魯迅先生」と言う言葉もよく耳に入るようになりました。

ふと思いついてもう一度手に取った魯迅、一体何が「わからなかった」のか、「響かなかった」のかが不思議なぐらいスイスイと心身に沁みていくようでした。言葉で説明は難しいですが、父が何故魯迅を愛したかもよくわかります。
ここで魯迅の文学を語るような言葉は持ち合わせていませんが、自序に始まって「阿Q正伝」「狂人日記」「故郷(これは高校の教科書に載っていました)」「薬」「明日」などが収録されている文庫を一冊一気に読み終えて、少し父に近づいたような気がしてなにか誇らしいような、胸の奥が温かいような、そんな気持ちになりました。

今日は歌とは全く関係ないお話でした。

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投稿者: : 2025/09/04 投稿先 あれやこれや

 

無念の休学

  

約半期を残すオンライン講座を休学することにしました。


毎週送られてくる課題曲は殆どが初めて聴く曲で、どれも素敵な曲で、一週間夢中になって練習して発表、という日々は苦しくも楽しく、ボディビルダーが筋肉を鍛えるのに嵌まるのにも似た充実感でした。(経験ないけど)

最近になって仕事が超絶忙しくなり、練習時間の捻出が課題でした。忙しく、といっても夜遅くまで働いているわけではないのですが、心身ともにいっぱいいっぱいで、仕事が終わったら呆けてしまい何もできないことが多くなりました。悔しいけれど年齢とともに体力気力の衰えもあるのでしょうか。

それでも何とか…と早朝起き出して練習したり(中学生の部活やな)してレッスンでの発表に間に合わせてきました。

負けず嫌いで、何かのために別のことを諦めるということができない、というか「ええい!全部いてまえー!!」というのが身上でございましたが、課題曲が気になるあまりライブの準備が疎かになっていることを自覚するに至り、ここは涙をのんで一旦断念することにしました。

この選択を後悔しないためにも、次のライブに向けて励みたいと思います。

お弁当作りは続いています。健康第一ですからね。
 
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投稿者: : 2025/05/31 投稿先 あれやこれや

 

新たな課題なのか

Choroのボーカルオンライン講座ですが、来週の課題曲が昨日届きました。でも今回は3回先ぐらいまで送られてきたので、ちょっと安心。
https://luckynobee.com/?s=%E7%B7%B4%E7%BF%92%E6%96%B9%E6%B3%95

ここでもお話しましたが、「自分のキーで譜面を作る」ということがJAZZボーカル師匠の門をたたいてから必須事項だったし、絶対音感はありませんが、「絶対とは言えないけどボヤっとした音感」はありまして、違うキーの譜面を見ながら歌うことがとても苦手です。鍵盤も、電子ピアノだとワンタッチでキーが変えられるわけですが、目の前の鍵盤と音が違うのはどうにもダメです。

で、課題がギリギリに来て、原曲が自分のキーと違う場合
①練習時間を削っても自分のキーの譜面を作る
②何とか耳でメロディを覚えて歌詞のみ見ながら歌う(残念ながら歌詞を覚える、はそもそも選択肢になく・・)
③無理しても送られてきた原曲のキーで歌ってしまう

この3つの中から、ということになります。まあ、半音、一音なら③もなんとかなるのですがキー2つ違うとなると音域的に無理が出てきます。(トップとボトムの音がでたらよい、というものではもちろんありませんし)
で・・・・
これは
④自分のキーと違う譜面を見ながら歌う
ができるようになる訓練ととらえるべきなのか・・・・。

譜面を手に途方に暮れております。
どうする?わたし。

とりあえず本日はライブなのでそちらの準備をします。

あああああ、でも気になるよう!!!!

 
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投稿者: : 2025/05/24 投稿先 あれやこれや

 

何かを作る、ということ

ものごごろがつくころから母はいつも何か作っている人でした。染織家になりたかった、ということはずっと後になって知りました。親子そろいのルパシカのような服を作ってくれたり、兄と私のために大きな鯉のぼり(手描きでした)を作ってくれたり、まだハロウィンなんてイベントが盛んになるずっと前の昭和40年代に「お化けかぼちゃ」というのをどこかで知って作ってくれて、まっくらな物置で灯してきゃあきゃあ言ったり。

これは母手製のルパシカ(のようなもの)を着た兄とわたし。二人ともかわいい!!!(自画自賛)

小学校3年生の初めまで父の転勤で札幌に住んでいたのですが、そのころから母はトウモロコシの皮を使った人形を作るようになりました。トウモロコシの皮を使った人形はヨーロッパでは古くからある民芸品です。すぐに破れてしまう乾燥した皮に和紙を張って布のように使うところ、草木染で染めるところ、更にそれを裂いて織る、などは母のオリジナルだと確信しています。(今、インターネットで検索すると沢山の方が同じようなものを作っておられますが、昔母が教室で教えたり、雑誌に掲載されたりして、誰かがそれを気に入って広まったのだろうなあ、と思います。裂いて織るなんて酔狂な(時間がかかる)ことしている人はネットでは探せませんでした)

その後関西に越してきてからずいぶん経って念願の手織機(小さめのグランドピアノぐらいの大きさです)を手に入れてからは裂き織りに熱中していました。読谷花織に凝っていたこともあるものの、基本的にはとうもろこしの皮といい、裂き織りといい、まあ、廃材利用というか、まったくそこを意図していないのに「エコ」な母でございます。「もったいない」が口癖でしたので一貫しております。

仲良くしてくださっている方が熱心に勧めてくださり、住んでいる団地の展示コーナーで今までの作品の展示をする!と決めたのはもう2年も前でしょうか。後期高齢者となり、大きな織機を操るのはもう難しくなりましたが、何か新しいものを・・・と母が選んだのは「芋版」。そういえば子供の頃は毎年年賀状をゴム版や芋版で作ったものです。兄も私もそれぞれ作るのですが、母と兄の作品を見るにつけ、美術的センスのない自分が嫌になったものです。日本の唱歌などを題材にして、実家に行くたびに「これ見て!」「これどっちがいいかなあ」など熱中している母はいつも生き生きとしています。

そして、この4月29日から15日という日程で、無事に展示を行うことができました。当日までにキャプションづくりや案内ハガキの作成など、わたくし、アート事務所の社長兼下僕となり頑張らせていただきました。昔の手作り仲間のかたを始め、お世話になっている沢山の方にお越しいただき、本当に感謝しております。

本当につくづく思うのです。歌う、踊る、実際に手を動かして何かを作る、描く、書く、趣味だろうと仕事だろうと、なんでもよいのですが、そういうものがある、自分が「これをしているときが楽しい」と思えることに出会えるということは本当に幸せなことだと。AIが人間にとってかわる、というようなことが言われていて、もちろんいろいろな技術が向上して暮らしが便利になるのは素晴らしいことなのですが、「自ら何かする」楽しみがなくなったら人生全然面白くない・・・。もっと願わくばそのように「実際に手を動かす仕事が報われる世の中になったらよいな、と思っております。

15日まで、という日程を公表しておりますが、実は撤収は25日(日)の予定ですので、お近くの方は母の60年にも及ぶ手仕事との関わりの一部を見てやってください。

 
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投稿者: : 2025/05/18 投稿先 あれやこれや

 

自分へのご褒美

長く勤めましたので少しお休みを頂けることになりました。遠くへ旅行、も考えたのですが、普段できそうでできないことをいろいろしよう、と思い、まあ、その中には溜まりに溜まった家事とか粗大ごみの処理とか、そういう所帯じみたことが含まれるのですが、それをすることでこの後すっきり暮らせるのでは?という思いもあり、小さい旅を・・・。

ちょうど「まそほママ」こと嘉山伸子さんの作品展のご案内を頂いていたので箕面まで出かけました。
阪急石橋で乗り換えて箕面線の牧落へ。高級住宅街を歩いて、古いお寺や神社の並ぶ静かな場所にある「ふくみみギャラリー」さん、ご自宅を改装されたそうで、小さいながらも温かみのある空間。そこに並ぶは嘉山さんの30年に渡るカレンダー作品。

毎年20組制作して知り合いなどに配っておられた、とのこと。なんと、わたしも2度もいただいたことがあります。もちろん大切に保管しています。

嘉山さんの「わたしにはこう見えています!」というのをそのまま形にしたような(いや、これは私が勝手にそう思っているだけです。ひょっとしたらものすごく苦しんで「創作」されているのかもしれないんですが、創作でこれを描いているとしたらそれはそれでものすごいと思うんです。

もう嘉山さんに出会ってずいぶん経ちますが、なんだろう、穏やかな食堂の女将のなかにほとばしるマグマのようなものがずっと燃え続けている、素晴らしい芸術家だと思います。

ギャラリーのオーナーさんは銅版画家でいらっしゃるそうで、他にお客さんがいないことをいいことに、ずいぶんおしゃべりさせていただきました。

普段なかなか持てそうなのに持てないこんな贅沢な時間が過ごせて本当に幸せでした。あっという間にお休みは終わって今週からまた仕事です。

 
 

秋はどこへ行ったの?

秋がこないまま冬になろうとしているような・・・日本の四季はどこへ???

10月23日のZac Baran、11月6日のJKCafeでLa Fiestaのライブを聴いてくださった皆様、ありがとうございました。「もうあかん」を連発しながらなんとか本番を無事に終えております。Zac Baranは4組のお客様が全員外国からのお客様、という京都らしい状況でございました。「コロンビア人だけど今は仕事でケニア在住なの」とおっしゃるカップルはノリノリで聴いてくださいました。女性の方がイパネマの娘を一緒に歌っておられたので後で聴くと「クリチーバに留学していたのよ。だいぶ勉強したけど今はほとんどポルトガル語忘れちゃった。でもGarota de Ipanemaは大好きだったし歌えるわ!と陽気に答えてくださいました。

音楽がらみではないのですが、昨日仕事でブラジルの方とお話する機会を得ました。張り切って話しましたが、なかなか言葉がでてこない。うーーーーん。やっぱりまだ5歳児(いや、3歳児にとまっているなあ・・・・。)英語もお話される方だったので、片言のポルトガル語と超ブロークンな英語でなんとかコミュニケーションをとったという感じでした。

でも、ブラジルの地方による発音の差などいろいろ教えていただきました。

また、ポルトガル語の勉強になるかと思ってこれを観ています、と私が見せた映画について「いやいや、この映画で使われている言葉はかなり悪い言葉が多い(バイオレンスものなんですよねー)から真似しちゃダメよ」と言われ、教材になりそうなドラマや映画を教えてくださいました。

早速帰宅後視聴しようとしましたが、私が加入しているチャンネルでは検索しても出てこず・・・・NetFlixへの乗り換えを検討しなくちゃ。

忙しすぎる、もう倒れる、助けてーーーー!

と愚痴りながら、本当に幸運なことに「人」に恵まれて人生を謳歌している、と言えるのかも、と思った次第です。

「あの頃、話しかけにくさナンバーワンだった」と高校の同窓会で言われるほどに愛想のないうちのでした。この年齢になってようやく笑顔でいること、オープンマインドでいることが、どれほど自分の世界を広げてくれるか、身に沁みております。といってもまだまだ精進が足りませんが・・・。

頑張りまする。

 
 

浜大津パーンの笛

素敵なお店の名前の由来を「今度行ったときに聞こう」と思いながら今日も聞かずに帰ってきてしまいました。

La Fiestaライブにお越しくださった皆様、ありがとうございました。楽器を持って歩いている人がやけに多いなあ、と思っていたら今日は昼間大津ジャズフェスが開催されていたようです。

今日は、よく来て下さるお客様と、そのお客様と一緒に前にも来てくださったお嬢さん2名、2回目来て下さるって本当にうれしいですよね。

2日前26日に京都ロームシアターへGilberto Gillのコンサートを見に行ったのです。言わずと知れたブラジルの巨匠、至宝、スーパースターです。80歳を超えたとは思えない最高のパフォーマンスで、とても言葉で言い表せないような感動がいまだに続いています。あれこれの小さなきっかけや縁が繋がって今ブラジルの歌を歌っていることの幸運を改めて思いました。

コンサートは歌仲間のA子さんと師匠Carlosと3人で出かけたのですが、思えば、私にGilberto Gilの曲を勧めてくれたのはCarlosです。

最初は今回のコンサートのタイトルにもなっている”Aquele Abraço“でした。初めはどう歌っていいのかさっぱりわからず面食らったものです。それまで馴染んできたメロディ重視の曲とは全く違っていたのです。ブラジル音楽のキモであるシンコペーションもこの曲でみっちりCarlosに特訓されました。

その曲をGilbertGil本人が歌っているのを師匠と一緒に観ている…,。夢のような瞬間でございました。

この経験がまた自分の血となり肉(贅肉はいらない)となるよう、精進いたします。

 
 

これも一種のオタク・・かな

今、文章を綴っているこのPC、10年選手のNEC Lavie君です。もともとWindows7で、10にはアップグレードできない機種とされていましたが、無理やりWindows10をインストールして5年ぐらい、寝室で主にネット検索やアマプラ視聴に使用していました。

https://luckynobee.com/2020/01/25/%e8%aa%98%e6%83%91%e3%81%ab%e6%8a%97%e3%81%97%e3%81%8d%e3%82%8c%e3%81%9a%e3%83%bb%e3%83%bb/

ところが1か月ほど前に突然Wifiに接続できなくなってしまいました。Wifiをオンにしてもしばらくすると勝手にオフになってしまい、利用可能なネットワークを探すこともできません。有線では接続ができます。
少し前の状態に復元する、Wifiドライバを再インストール、どれもダメ。

で、ネットで同じ現象を調べてみたのですが、結局のところ、無理やりWin10にした以上、ドライバが対応しなくなるのはどうしようもないらしい・・・・。そういえばWin10にした時点でタッチパッドも使えなくなったなあ・・・と。これはいよいよ処分かあ・・・。有線引っ張るのはあり得ないし・・・。新しいPC買うほど必要かというとそうでもないかあ・・・・・。

ええ・・・根が執念深いんです。しつこいんです。
最後(?)の手段。USBの無線アダプタを買っちゃいました。約3000円なり。
見た目はどんどん昔風になっていきますが、これでばっちり復活。
windows10のサポートが終了するまでは何とか使用したいと思います。

 
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投稿者: : 2024/09/23 投稿先 あれやこれや

 

歳月人を待たず

6月4日のJKCafe、16日のレミューズカフェでのLa Fiestaライブに来てくださった皆様、ありがとうございました。以前はライブのその日か翌日にはご報告ブログを必ずアップしていたものでしたが、なかなかおぼつかなくなってきました。あれこれ宿題に追われるうちにあっという間に時が過ぎていきます。月1回のボイスレッスンも「あれ?こないだ行ったところなのに・・・」という感じ。ライブの日なんて準備を始めたらあっという間に本番になってしまいます。

だからって「ぶっつけ本番」という度胸も自信もありませんので、結局常に時間に追われている、というわけです。
それでも、投げ出さずに続けていたら「あれ?これできるようになったよ」ということがあるわけで・・・。
時間には追われていても、常に「追っている」つもりで頑張るしかないですね。

5期目のChoroオンライン講座も残すところあと2回。課題曲が届いて本番まで最短3日、という厳しい状況で今期もよく頑張って追い、追われた、と思います。

あと15分で始まる講座の今回の課題曲はこちら(発表され譜面が来たのが金曜日!!!)
美しい曲!完璧に仕上がった、とは言い難いですが頑張って発表いたします。

 
 

怒涛の4月 1年ぶりの鳥取

どこかで倒れるかも・・・と思いながらなんとか4月を終えようとしています。環境が変わり、毎日毎日が「初めて」の連続でした。

週1のオンライン講座、対面レッスン5回(ボイス、語学、ボーカル)、ライブが4回、その上初めてのホーダ(ジャズでいうところの「セッション」のようなもの)にも参加しましたし、ここは「頑張ったね」と自分をほめていいんじゃないか・・・・と思っています。

水曜日は明日30日のMクアトロでご一緒する梶山敏弘さんとのリハもしていただきました。そして・・・本日29日は鳥取まちなかJAZZにLa Fiestaで出演いたします。昨日夕方に鳥取に入り、夜はバンドのメンバーと鳥取のおいしいお魚に舌鼓をうちました。

ホテルの朝食バイキングもばっちりいただいて、元気もりもり。出演は13時、お天気が持つといいなああ・・。
たくさんお客様に聴いて頂けますように。

 
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投稿者: : 2024/04/29 投稿先 あれやこれや