唄に出会うきっかけはいろいろあります。「出会ったきっかけ」も覚えている曲というのは、わたしにとって、一生の宝物のような大切な存在です。
きっかけは様々。ラジオから流れてきた、CMで流れてきた、誰かのコンサートやライブでで初めて聴いた・・・などなど。「映画」もそのひとつ。”超”がつく出不精のわたくしは、映画館で映画をみることはそんなにないのですが・・・。
子供のころ、古い映画が好きでした。たぶん母親が懐しがって観ていたテレビ映画を一緒に見ていたのだと思います。古いフランスやイタリアの映画・・・。「鉄道員」とか「自転車泥棒」とか「格子なき牢獄」とか「大いなる幻影」とか・・・・あまり覚えていないのですが・・。「鉄道員」(ぽっぽやじゃないですよ。ピエトロ・ジェルミ監督のほうね)の音楽は特に好きで、弾けもしないギターで弾こうと(なぜかギター譜がうちにあったのです。)格闘した思い出もあります。
そんな母の影響か、ある日何気なくテレビで観た「過去をもつ愛情」(フランス映画だと思う。舞台はリスボンだったはずだけど。真っ白い・・・といってもモノクロ映画なんだから白いかどうかわからないのに、やたらと白くみえる貧しい家々のシーンがあったような・・・・。この記憶もいい加減)。映画の筋はこれっぽっちも覚えていません。(映画ファンの方、ごめんなさーい)酒場で、歌手が唄うシーン、ポルトガルの、ファドのディーバ、アマリア・ロドリゲス(映画を観たときは全く知らなかったわけですが・・・)が唄う「暗いはしけ」を聴いたとたん、月並みな表現ですが、本当に雷に打たれたよう、涙ぼろぼろでした。歌詞の意味はもちろんわからないですし、生で聴いたわけでもない、映画のワンシーンで、そんなに心打たれたことはありませんでした。あれは中学3年だっただろうか、高校生になっていただろうか・・・?
いまでも「暗いはしけ」はいっとう好きな(いっとうがたくさんあるのだけど)唄のひとつです。何を唄っても「黄昏れない」わたしにはファドは厳しいかもしれませんが・・・。でもいつか唄ってみたい・・・と思っています。
今日、なぜか突然そのことを思い出しました。
明日から練習しよ。