「女性シンガーでは誰が好きですか」
と聞かれて、たいてい真っ先にあげるのがこの人です。
Sheila Jordan シーラ・ジョーダン。
エラやサラほど有名ではありませんが、つややかな声や、独特のフレージング、テクニカルなスキャットやアドリブを駆使してもなんというかヒューマンな温もりを感じる歌唱。
時々日本に来てワークショップをしていたことは知っていて、行きたい、行きたい、と思っていました。そのシーラが兵庫県立芸文センターに来る!ということは、年初めの芸文センターの年間予定を見て、知っていたのです。
絶対行く!と決めていました。けれど、夏を過ぎてもチラシも出ないし、HPにも載らないし、御年も御年だし、流れてしまったのかな・・・と思いつつ、しょっちゅうHPを見に行っていました。
ようやくHPにコンサートの予定が載っているのを発見したときには小躍りラリホー状態。もちろん即予約です。芸文センターの先行予約会員にもなりました。
それでも御年82歳、80歳のバースデイライブの模様が動画サイトにもUPされていて、元気に唄っていたけれど、長旅をしての、コンサート、大丈夫かなあ・・・・という不安がなかったわけではありません。
けれど、コンサートはそれはそれはすばらしいものでした。
御年にしては・・・ではありません。
もちろん声量は若かりしころより衰えたでしょうが、「円熟味」という言葉が軽く思えるほどに重厚な歌唱、しかも声の艶はまったくと言っていいほど失われていません。
横に椅子が置かれていましたが、座ったのは、ほんのわずか、1曲か2曲、楽器のパートのアドリブが長めのときだけ。休憩を挟んで1時間半ほどのコンサート、ずっと立った状態で唄っていました。しかも5センチほどのヒールのパンプス!
82歳ですよ。それだけでもすごいことです。
アンコールの前に、シーラは、「また皆さんと会えるかどうかわからない。たぶん無理ね。でも会えなかったら空を見上げてね。きっとわたしはそこにいる」と言うようなことを(たぶん)言って、「for all we know」 を・・・
For all we know we may never meet again
Before you go. Make this moment sweet again
会場からはすすり泣きが。
もちろん、うちのも涙ぼろぼろ。
バックのトリオも、極上でした。
シーラが女神さまのように真ん中にいて、トリオは天使・・・???じゃ竹田達彦さんも天使???
うちのがなんとなく思い浮かべていたのは、「フランダースの犬」でした。
ラストで、ネッロがついにルーベンスの絵を見るシーン。
神々しいまでの、「ありがたい」 と思わずひれ伏したくなるコンサートでありました。
わたくしも、82歳までは、まだ少々時間があります。
シーラを見上げつつ、精進いたします。