ご報告が遅くなりましたが、先週9月17日は、師匠谷けい子の主宰する「K’z Vocal Studio」の31回目の発表会でした。谷師匠の門を叩いたとき、わたしは10代で、師匠は「甲陽音楽学院」の講師でした。この学校、当時は「学院」というよりは「まちの音楽教室」、といった感じでしたけれど、その後とても大きくなって、今では学校法人らしいです。わたしは家を出て一人暮らしを始めて半年ぐらい経っていたのですが、当時家賃と光熱水費だけで給料が6割以上飛んでいくという生活をしていて、食費その他もろもろでカツカツ、自動引き落としで月謝が引き落とされるたびに残高を気にしてヒヤヒヤしたものでした。それでもあの秋の日、思い切って体験レッスンに行って本当によかったと思っています。
「知らない」というのは本当に恐ろしいもので、ジャズボーカルを聴くのが大好きで、家でカセットテープやラジオに合わせて口ずさむだけで「なんとなくイケてる」ような気になっていたのです。師匠の元でレッスン(その後たくさんの師に出会うわけですが)を始めてからのこの30数年間は、常に少し前進してはそれまでの自分を振り返り、「どれほど理解が浅かったか」、「いい加減に歌っていたか」に気付かされ続ける年月でした。それは今でも続いています。
別の言い方をすれば「結構イケてるやん」という勘違いはやっぱり常に心のどこかにあって(でもこの勘違いとか自己陶酔って、ある程度必要だと思うのですよね。)、でも少し前に進むとそれまでの自分がはっきり見えてきて、そのみっともなさを恥じるわけです。
ということはやっぱり「止まったらそこでおしまい。」、行く道は果てしないのだろうと思います。
どこかに到達点がある、と思うのではなく、その積み重ねが喜びに繋がる、そう信じております。
ということであれこれと感慨深い発表会でした。
わたしはソロで「Emoldurada(Ivan Lins)」「Twisted(Wardell Gray)(」「Where Do You Start?(Johnny Mandel)」の3曲を、コーラスで「Dream」を歌わせていただきました。
師匠に、ミュージシャンの皆さんに、一緒に歩んできた歌仲間たちに、お店のマスターに、
皆さんに感謝です。