手前味噌失礼いたします。
Cheersライブの翌日は、母のクロマチックハーモニカの発表会に出かけました。神戸の福寿の蔵元、酒心館です。初めて石屋川の駅で降りました。川沿いを海に向かって降りて行きましたが、落ち着いていてよい街並みですね。行く道々で紫陽花が美しい花を咲かせていました。柘榴の木もはっとするような鮮やかな朱色の花を咲かせていましたね。
さて、ハーモニカを始めて8年ほど(多分)、今回母が演奏したのは「誰もいない海」でした。
初心者のころ「コンドルは飛んでいく」や「ひまわり」など、難曲に挑んでは撃沈していった母でございました。ええ、初心者ほど無理な曲を選びがち、それはよーくわかります。師匠のボーカル教室でもいきなり難曲を歌いたがる人は多かったし、斯くいうわたくし自身、そうやって撃沈を繰り返した恥ずかしい思い出は数知れず・・・。
でも、実力顧みずに「これを奏でたい」っていう気持ちはとっても大事だと思っていて、そうやって果敢に(それは初心者にしかない「知らない」という最大にして最も危険な武器があるからこそ、できることですね。)恥をかいたり落ち込んだりすることは決して無駄にはならない、と断言したい。
今回は、頑張ったら(完璧でなくても)なんとかなるかも・・・という曲を選んだようです。(しかも少し難しいところを端折ってもらったらしいのですが、聴衆にはそんなことわかりませんものね)そういう曲を選べるようになった、ということ自体が物凄い進歩だと思いませんか。
そして、今回、この8年の中で最も(いや初めて、といってもいいかも)、母のハーモニカを聴いて「ああ。。。。歌っている」と感じることができました。
以前なら、カラオケのバッキングからずれていっても頑なに(というかずれていることに気付かず)「ずれたまま」を押し通していた母でしたが、今回は、「あれ?」と思ったところがあってもちゃんと戻ってきていました。
音が間違ったって、速い部分が上手く吹けなくてゆっくりになったって、そんなこと、大したことじゃない。
ちゃんと「今はもう秋、だれもいない海」と歌がおしまいまで流れていました。これって、もう本人が意識しているかどうかはわからないのですが、ヘレン・ケラーが「ウォーター!!」叫ぶ瞬間のように、根源的な進歩だと思うのです。もちろんそれは少しづつ、少しづつ、意識の下で理解が進んでいったものですよね。
そう思うと、なんだか胸がいっぱいになって泣きそうになりました。
継続は力。
その力で得るのは「喜び」。それだけ。
音楽って、「楽しい」以外に理由はいらないと思います。
上手くなりたいのも「もっと楽しくなりたい」からであって、優越感持ちたいとか、ほめられたいとか、有名になりたいとか、お金儲けしたいとか・・・じゃない。
「喜び」は一銭にもならないし、他人に自慢もできないけれど、その「喜び」を得る素晴らしさは何物にも代えがたい・・・心からそう思います。
母には、是非、昔撃沈した曲にも、もう一度挑戦してほしいと思います。
必ず前とは違っているはず。
毎回ステージ衣装のスタイリストを務めるのもわたしのお楽しみになっています。今回はブルーのトップスとふんわりしたスカートのような麻のパンツ、ばっちり決まっていたよ。(ま、手前味噌に自画自賛まで・・・)
これからも頑張れ!お母ちゃん!