Drunk On The Moon Tom Waits
この曲を聴くたびに、「星の王子さま」の場面を思い出します。
「きみ、そこで、なにしてるの?」
「酒のんでるよ」と、呑み助は、今にも泣きだしそうな顔をして答えました。
「なぜ、酒なんかのむの?」と、王子さまはたずねました。
「忘れたいからさ」と、呑み助は答えました。
「忘れるって、なにをさ?」と、王子さまは気のどくになりだして、ききました。
「はずかしいのを忘れるんだよ」と呑み助は伏し目になってうちあけました。
「はずかしいって、なにが?」と王子さまは、あいての気を引き立てるつもりになって、ききました。
「酒のむのが、はずかしいんだよ」というなり呑み助は、だまりこくってしまいました。
そこで、王子さまは、当惑してそこを立ち去りました。
おとなって、とっても、とってもおかしいんだなあ、王子さまは、旅をつづけながら考えていました。
(内藤濯訳)
手元にあるのは、昭和42年発行(第1刷は昭和28年とあります)のもの。
最近はたくさん新訳が出版されていて、より原語に忠実なものもあるのだと聞きますが、自分としては、文章の「節回し」を覚えてしまっている、この岩波少年文庫の「星の王子さま」こそが「星の王子さま」なんだなあ・・・。
心が「ぼきっ」といきそうなことが立て続けにあり、まあ、仕事のことなので、そうは言っても立ち直りも早いのだけれど、そういうときには、「呑み助」の横に座って、こちらも ちびちびと・・・という感じでしょうかね。