平安時代の歌人に蝉丸っていたな・・・。
毎朝同じバスに乗っていると、だいたいご同乗の方たちも決まってきて、顔も覚えてくるものです。
朝、ひとつ後のバス停から乗ってこられるご婦人(うちのより少し先輩格かなあ・・・。50代か60代か・・。)で、毎年夏になると、蝉(生きているのよー)を虫かごや、生ゴミを入れる網の袋なんかにたくさん積めて乗ってくる方がいます。
何年か前、突然車内で蝉がいっせいにミンミン、ジリジリと鳴きだして、「なにごとか!(はじめは蝉の鳴き声だと思わなかった)」ときょろきょろして、前の席のご婦人が膝に乗せている袋のなかに、大量の蝉が網に入れられているのを見たときは、びっくり仰天したものです。虫全般は、それほど苦手でもないうちのですが、トンボの目とか、キリギリスの目とか、組織が見えている(わかる?)感じ、蝉にいたっては、内臓もみんな見えてます・・・のような形態の昆虫は少々グロテスクに見えてちいとばかし苦手です。それにね、虫かごのときはまだしも、なんですが、あの網の袋に蝉が盛りだくさん詰まってるって、ちょっと引きますよー。
虫嫌いの人に見せるには辛いと思います。
毎年のことなので、最近は、ギョッとしている人を見て、「あ、あんた、ここら辺じゃ新顔だね。蝉婦人を知らないなんて」と心の中でエラそうにしておりますが。(何がエラいんだか)
最初は「お孫さんのところへでも持っていくんだろうか・・・」と思ったものですが、毎日、ですし、毎年、ですし。
蝉の研究をしている昆虫学者なのか?
都会に蝉を移植しようとしているのか?
蝉からなにか薬になるエキスでもとれるのか?(抜け殻から・・・って聞いたことあるけど)
それとも、蝉が友達で、連れ歩いているのか?(道中話しかける・・・とか?)
あの蝉は毎日新しいのか、それともまた持って帰ってくるのか?
謎です。
残念ながら、帰りのバスでは乗り合わせたことがありませんが、まあ、どこかへ運んでいると考えるのが順当ですよね。蝉は数日で死んでしまうのだし。
それにしても、あの婦人が、毎日蝉をせっせと取っているところ、というのもちょっと想像しにくい。どうやって集めているのか・・・。飼っている?育てている?
毎年、今年こそ聞いてみよう、と思うものの、きっかけもなく・・。
きっと長年同じバスに乗っておられる方たち、みんな知りたいと思っているにちがいないんだけどな。
今年も聞くことができないまま、夏が過ぎようとしています。